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2012年11月24日

11のテーラーを紹介した日本初のヴィジュアルブック


日本では「背広」の語源として知られている紳士服の聖地サヴィルロウですが、 ファッション誌や書籍で取り上げられることは少なく、本書ほど詳しく サヴィルロウとそのテーラーを紹介している和書はないのではないでしょうか。 少なくともヴィジュアルブックとしては日本初だそうです。


 「サヴィルロウはバーリントン伯爵の妻サヴィルの名にちなんで命名された」という歴史の話から始まり、 「リースホールド」というイギリスの土地制度による賃借料や人件費の高騰問題、 「サヴィルロウビスポークアソシエーション」という組織の話、紳士服の聖地と呼ばれる理由、 イングリッシュテーラーリングの美学など、サヴィルロウの成り立ちから現状まで イントロダクションのページで簡単に触れてからテーラーの紹介へと入ります。

 本書で紹介される11のテーラーは、リチャードアンダーソン、アンダーソン&シェパード、 ディージー&スキナー、イード&レイヴェンスクロフト、ティモシー・エベレスト、 ギーヴス&ホークス、ハンツマン、ノートン&サンズ、ヘンリー・プール、 スペンサー・ハート、ウェルシュ&ジェフェリーズ。

 老舗ヘンリー・プール、デザイナーズブランド寄りのスペンサー・ハート、 法廷ガウンとかつらを製造するオンリーワンのイード&レイヴェンスクロフト、 サヴィルロウで最も高価なテーラーハンツマンなどバラエティに富んだラインナップになっており、 今の「サヴィルロウ」を象徴するテーラーを選んだとのことです。 古臭い伝統を売りにするクラシックなテーラーばかりではないので、 本書を読めば良い意味でサヴィルロウのイメージが変わるかもしれません。

 テーラーの取り上げ方については「サヴィルロウが売るのはファッションではなくスタイル」と 本書でも説明されているように、ハウススタイルやその哲学にフォーカスしており、 ヘッドカッターの言葉とそのクラフツマンシップがよくわかる美しい写真(ディーテールの接写)を 中心に紹介しています。特に職人の指の写真は圧巻の一言なのですが、 その手から生まれるスーツを実際に着用している写真がないので肝心のシルエットがよくわからなかったり、 ヘッドカッターやスタイルの話が出てこないテーラーもあったりして、 単純に11のテーラーのハウススタイルを見て比べることができないのが残念な点でしょうか。 あくまでサヴィルロウの雰囲気を伝える本です。

 それでも本書を読むと各テーラーの特徴がよくわかります。例えば、 アレキサンダー・マックイーンが修業をし、トム・フォードやラルフローレンが顧客に名を連ねるアンダーソン&シェパードにはこのような情報が載っております。簡単にまとめてみました。

ハウススタイル:リンプルック、ロンドンカット、手縫いが多い
ヘッドカッター:ジョン・ヒッチコック
偉業:ロンドンカットの発明
名声:アメリカ人に好まれる(最もハリウッドに愛されたテーラー)
逸話:A&Sの獲得に失敗したラルフローレンがパープルレーベルを立ち上げた
現状:リースホールドの延長が認められず、2005年にサヴィルロウを去る

専門用語的な事ばかり書いてあるような気もしますが、本書ではきちんと言葉の 説明もしているので気になる方は是非読んでみてください。アメリカ人に好まれる 理由もよくわかり私も思わず誂えてみたくなりました(笑)


 最近は、パターンオーダーやイージーオーダーが人気でスーツにこだわる人が増えてきたようです。 しかし、2007年にギーブス&ホークス、そして今年はヘンリープールが日本から撤退したように、 まだそこまでテーラーに強いこだわりを持っている人は少ないのかもしれません (こだわるからこそライセンス生産はウケなかったとも考えられますが)。

 ならば、スノビッシュなファッション好きなら今のうちにサヴィルロウのテーラーを 視野に入れておかなければいけませんよね?いや、そんなことはない? サヴィルロウのテーラーは現地で誂えることに意味があるのでなかなかそんな 機会が訪れることはないかと思いますが、私はいつか訪れるその日まで本書を 眺め妄想に浸ることにします(笑)  


Posted by idyoyo at 11:12Comments(0)時尚